玉虫色のFOMC議事録
今回は、19日にFOMC議事録が公表されたので、水曜ではなく、本日配信です。
国内で、GDPがまさかのマイナス成長、
そして、安倍首相が消費増税先送り、衆院解散総選挙を表明しました。
庶民としては年末の忙しい時期にという気もしますが、
金融市場は、政治絡みは織り込み済みでほぼ反応なし。
ただ、GDPに関して海外市場は、これで再度テコ入れせざるを得ないのではとの見方から、
意外にも高評価。摩訶不思議!
さて、FOMC議事録ですが、
「インフレ期待の低下を警戒する必要」
「多くのメンバーが世界経済の鈍化の影響は限定的と見ている」
「ほとんどのメンバーが新たなフォワードガイダンスが有益と見ている」
「何人かのメンバーはフォワードガイダンスで「相当の期間」の削除を望んだ」
「そのほかのメンバーは「相当の期間」の文言が有益だと判断」
「インフレは短期的に低下、その後目標に向けて上昇へ」
「FOMCは利上げの道のりを協議した」
「労働市場のたるみは徐々に解消」
「利上げに向けた伝達方法を協議」
「金融政策の正常化に連れて変動率の上昇を予想」
「2-3人のメンバーはインフレが目標以下で当面推移する可能性があることを懸念」
「数人のメンバーは利上げのペースのアプローチを明確にすることが有益となると考えている」
「ドル高を協議した」
「エネルギー価格の下落で消費加速」
こんな感じでした。
市場の反応は、
「インフレ期待の低下を警戒する必要」で金利が低下し、ドルが売られ、
「FOMCは利上げの道のりを協議した」
「何人かのメンバーはフォワードガイダンスで「相当の期間」の削除を望んだ」
これでドルが買われる
という玉虫色の反応です。
結果を見るとユーロドル、株式は小動き、ドル円は上昇。
前回、景気回復への自信が表明され、
欧州を中心とした世界経済の低迷、弱い物価見通しについては重視しない
ということでしたが、今回物価見通しについてやや警戒感を示しています。
つまり、利上げの道のりを検討したけど、まだまだ外的環境次第ということで、
利上げ観測を高めるには至っていません。
だから、債券利回りは上昇したものの、対ユーロでドルは売られているということでしょう。
世界経済が弱含んでいることには言及していないのが、注目点ですね。
欧州を中心に前回からなにも改善していない現状で、
ことさらそれに言及するのは、誤解を招くからでしょうか。
正解でしたね。
ECBが日本のGDPがマイナスとなったことで、単に日本的な緩和ではダメなことに対して、
懸念しており、まさに打つ手なしに近い状態になってます。
18日のZEWが良かった程度では、市場のセンチメントの改善は一時的です。
少なくとも24日の独IFO、25日の独・GDPまでは様子見でしょ。
ちょっと話がそれますが、最近読んだ本のご紹介
「ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる」マイケル ルイス著 (文春文庫)
「ライアーズ・ポーカー」とか「世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち」
を書いた人の本です。
どこまで本当かは不明ですが、一応ノンフィクションです。
恐ろしや、欧州経済…
文庫本でお安いので、暇つぶしにご一読あれ。