FX大口トレーダーのジレンマ
今回は「FX大口トレーダーのジレンマ」というお話です。
FXで儲かってくるとそれなりに問題が出てきます。
儲かること自体が問題ではなく、儲かった結果、ポジションを大きくすることで問題が発生します。
ちゃんとトレード手法が確立され、利益を上げられるようになり、少しずつポジションサイズを大きくしたとします。
するとrejectを食らうとか成立のレスポンスが遅くなる頻度が増えることになります。
なにが起きているのかと言うと、大きなサイズの注文は成立しにくくなっているのです。
FX業者は複数のカバー先のレートの中から、売り買いそれぞれベストレートを選んで、
配信していることはすでに「ゼニ失いFXトレーダーの25箇条」で説明済みですよね。
でも、それぞれのカバー先がそのレートで受けられるサイズとはそれほど大きくないんです。
特に昔と違いドル円なら0.1pip刻みになったことで、そうした現象が起きやすくなっています。
下の図を見てくだささい。
真ん中がレートで、左が売り板、右が買い板です。
このような板情報から、102.190/102.191 という形で取引ツール上に表示されることになります。
つまり、今一番いい売りレートの102.190というレートでは30万通貨売ることができ、
102.191では45万通貨買うことができるということです。
ただし、何万通貨というのは見えていません。
では、1pip刻みだとどうなるでしょうか?
102.181~102.190がすべて102.19での売りとなり、618万通貨(ピンクの部分の合計)売ることが可能です。
102.191~102.200がすべて102.20での買いとなり、586万通貨(グリーンの部分の合計)買うことが可能です。
これなら普通の個人投資家レベルなら十分な供給量でしょう。
マーケットの状況、流動性や通貨ペアにもよりますが、
タイトルにある大口トレーダーの定義ですが、
業者勤務時代の経験から言わせていただくと、ワンショット50万通貨が一つの境目になるかと思います。
まあ、それ以外は気にしていないというのが本音です。
1ショットが50万通貨を超えるとこうしたことが起きやすくなり、
100万通貨を超えるとその頻度が高くなる傾向にあります。
そうなると10万通貨や20万通貨で行っていたトレード手法の再現が難しくなり、
100万通貨だから10万通貨のトレードの10倍の利益が上げられるという単純計算ができなくなってしまします。
特にカバー先が1社しかない場合は、顕著です。0.1pip刻みにはその1社しかレートを提供していないわけですからね。
なんとなく普通の買い物のように「たくさん買うから安くしてよ」ということを考えてしまうかもしれません。
しかし街角で買い物をするようにはいかないのです。
街角で売られている商品は流通量が多く、多少安くしても多く売れた方が利益が多くなるでしょうが、
FXにおいてはそれは通用しません。
またこれはFXだけでなく、株式のトレードでも同様です。
たくさん買えば買うほど需給バランスから、レートが悪くなります。
こうしたことも知らないで、大きなサイズの注文が入りにくくなると、
「俺は儲かっているから、狙われているんだ」とか勘違いしている輩がいるんですよね。
困ったものです。