日米金融政策は玉虫色
日米で金融政策に関していろいろありました。
まずは日本。
日銀の金融政策は予想通り現状維持でしたが、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、
2016年度までの従来の物価見通しを下方修正し、
2%の物価目標達成時期も16年度前半ごろに先送りしました。
黒田日銀総裁は、それでも強気のスタンスを示しています。
物価が上昇しないのは、原油価格の下落に伴う一時的なものであり、
原油価格の下落が一巡すれば… ということらしい。
ということは、逆にそれでも物価が上昇しなければ、追加緩和せざるを得ないというシナリオが描けます。
日銀が予想するほど物価が上昇しないのは、株高や原油安による資産効果がないからだと思うけど、
国民だってバカじゃないから、バブルの頃のようにむやみに物を買ったり、
無駄な散財しなくなっているということをわかってないのかな?
追加緩和の可能性が取りざたされているうちは、円売りのトリガーに指が掛かっている状況に変化はありません。
続いて米国。
エコノミストの事前予想では、景気判断や見通しが下方修正されるのではとの見方もありましたが、
声明では1-3月の経済指標が弱かったのは一時的なものとし、これがドル売りに歯止めを掛けることになりました。
ただ、足元の労働市場に関して前回の「一段と改善」から、「雇用の伸びは緩やか」に幾分下方修正、
消費判断も前回の「緩やかに拡大、燃料価格の下落が購買力を強化」から「伸びが鈍化」に下方修正、
「燃料価格の下落で実質所得は力強く上昇、消費者センチメントは依然高い」と楽観的な見解も維持されてます。
つまり玉虫色ってことですね。
注目されるのは、時期や時間的な表現がすべて削除されたことです。
例えば、Expende period(長期間にわたり)、Considerable time(当面の間)、Patient(辛抱強く)
などです。
もともとイエレンさんが以前の会見で「Considerable time」を「6カ月程度」と発言し、
いろいろ誤解を招くことになったわけですから、このような表現を削除したことでは、
今後一層、利上げ時期を巡って、マーケットは振り回されることになりそうです。
すでに、1日にメスター・クリーブランド地区連銀総裁が、
「利上げが適切となる時期が近付いており、次回の6月を含め、すべての会合で利上げを決定する可能性がある」
発言し、6月の利上げの可能性も否定できなくなってます。
ギリシャ問題について、いろいろ取りざたされてますが、
ギリシャのユーログループ離脱や破たんは周辺国への影響の大きさから
欧州のコンセンサスとしては、「何とかする」ということでしょうか?
それゆえ、ユーロが買われている。
ただし、あくまでショートカバーであり、途転買いに回るのは時期尚早。
現在のユーロドルは昨年12月の下落から一時踏みとどまった水準にあり、
1.15ドルを上抜けてこない限り、センチメントが変わることはないでしょう。
ただ、スキャルでの買いはありですけどね。
来週前半は、日本の大型連休、週末に雇用統計なども控えていることから、
ギリシャ問題でドラスティックなことがない限り、
様子見ながら Hit & Away のスタンスで…
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