【招金猫】ユーロ売りの基調に変化はないけど…

先週前半は、前週の日米金融イベントの消化、後半はECB次第の展開でした。

ドル円は、日米金融政策スタンスの違いを背景に上昇基調となり、

さらにドラギ総裁の発言を受けて、一時115円台に乗せました。

どういうことかというと、ユーロが対ドルで売られ、そのドル買いが対円にも波及したということです。

  

では、ECB理事会について。

事前には、既報のとおりECBメンバーからドラギ総裁への不満なども囁かれ、

タカ派へのシフトが意識され、ユーロは小幅買い戻されていました。

しかし、ドラギ総裁から最近はやりの「なんでもやる」発言が出たことで、

ユーロが再度売られるという元の路線に戻されることになったわけです。

ドラギ総裁の主な発言は、

「ECBはABSの購入を近々開始」
「購入プログラムは少なくとも2年継続」
「世界中で、政策のサイクルの大きな相違が見られる」
「主要中央銀行の金融政策にかい離」
「主要なメッセージは、他の中央銀行が資産を縮小していく中、ECBは資産を拡大していくことだ」
「バランスシートは2012年3月の水準に戻す」
「必要とあれば追加緩和を講じることで全会一致」
「見通しが下方修正される基調」
「意見の相違は正常だ」

など。

ドラギ総裁への不満については、直接的には言及しなかったものの、「意見の相違は正常だ」として、

市場の混乱を回避し、追加緩和も全会一致であることを強調してます。

ECBとしても政策を見て、ユーロが売られるのは歓迎するけど、

それ以外の要因で売られた場合、パニック的な売りにつながることもあり、

それは避けたかったようです。

いずれは、追加緩和という既定路線への回帰といったところでしょうか。

  

次は雇用統計。

失業率:5.8%(予想:5.9%)
非農業部門雇用者数:前月比+21.4万人(予想:+23.5万人)
平均時給:前月比+0.1%(予想:+0.2%)

失業率は低下したけど、非農業部門雇用者数が予想を下回り、賃金の伸びも見られず、

売り材料視されました。

このところの雇用統計は、依然として大きなイベントには違いありませんが、

トレンドを左右するほどの影響力はありません。

その理由としては、

EUや中国、日本など米国以外の経済動向にマーケットの眼が向いている

労働市場の拡大を確認している以上、ある程度の雇用統計のブレはFRBは気にしていない

などが考えられます。

だからと言って、発表時には大きく振り回されますので、注意は必要です。

  

今週は、G20やAPECなどが予定されています。

G20では、非公式ながらもオバマ大統領とプーチン大統領の会談も噂されており、

場合によっては、地政学的リスクについて動きがあるかもしれません。

また、14日にはEUの7-9月期GDP速報値が発表されます。

前期より小幅ながら伸びが予想されています。

予想を下回るとリセッション懸念、追加緩和、ユーロ売りが誘われることになりそうです。

米国では、複数の連銀総裁が日替わりのように講演を行います。

  

ユーロ売り・ドル買いの流れに変化はなさそうですが、

11月末のファンドの決算期を前に、ポジションクローズのタイミングを計っているようで、

ちょっとしたドル売り材料でも、大きく動くかもしれません。

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