日銀のサプライズは日本の本気度の表れか?
日銀、やってくれましたね~
31日、日銀金融政策決定会合で、
マネタリーベースを年間で約80兆円増加するペースで資産買い入れを行う追加緩和を決定しました。
これまでに比べて10─20兆円の追加となり、
資産買い入れは、長期国債を年間約80兆円、ETFを同約3兆円、J-REITを同約900億円。
賛成5人、反対4人の賛成多数で決定。
黒田日銀総裁は、以下のような発言をしてます。
「追加緩和、物価目標の早期達成を確かなものにするため」
「景気、基調的には緩やかな回復が続いている」
「量的・質的緩和は所期の効果を発揮している」
「今はまさに正念場」
「質的・量的緩和はデフレ心理を払拭し、インフレ期待を持ち上げることが狙い」
「必要なら躊躇なく政策を調整する姿勢に変化ない」
「政策の余地は依然としてある」
「相当思いきった拡大を実行したのでそれなりの効果は見込める」
「今のところは、さらに何かの策を実施する必要はないと思っている」
「今日の会合では必要にして十分な拡大を実施した」
「物価上昇率、消費の弱さと原油価格の大幅下落でやや低下」
「2年程度を念頭に早期に2%の物価実現する政策にまったく変化ない」
「緩和策は予期していた効果を発揮してきた」
「米国の金融政策を意識することは一切ない」
「為替レートは様々な要因が影響する」
「日銀の政策とGPIFはまったく関係ない」
「政府の政策を考慮して金融政策を決定することはない」
「これまでの円安は日本経済全体にとってプラスだった」
「具体的に出口戦略を議論するのは時期尚早」
ややタカ派的な米国と追加緩和した日本、これで立ち位置が明確になりました。
黒田さんは「政府の政策を考慮して金融政策を決定することはない」って言ってますが、
これで追加増税決定ですね。
さらには、GPIFの運用見直しの決定。
国内株式、外国債券は現行の11%から15%に、
外国株式は12%から25%に引き。
国内債券は60%から35%に大幅に引き下げ。
で、お金の流れはどうなるかというと、
日本国債(JGB)が売られ、日本株、外国株、外債が買われるということです。
JGB売りで金利を下支え、株価の押し上げで、景気が刺激され、物価上昇、
そして円安。
リスク資産へのウェートが高まるということは当然不安材料も増えてきます。
外債・外国株への依存度が高まれば、海外の諸事情による損失の拡大、
為替による差損の発生などなど。
久しぶりに日本発の材料で、マーケットが動きました。
ドル円は、109.40円から一時112.50円手前まで上昇し、
日経平均は755円の上昇、ダウも200ドル近い上昇。
前号でもFOMCについては、いろいろ書きましたけど、
日銀はほとんどノーマークでした。
一連の今回の決定は、海外勢から舐められている日本が一矢報いたと言えそうです。
GPIFがJGBでの運用を減額しても、日銀が買ってくれる、
追加緩和しても、消費税増税が行われれば、物価を押し上げられる、
つまり、日銀とGPIFががっちり手を組み、アベノミクスを推し進めるゾ!
という日本の本気度がアピールできたのではないでしょうか。
ただ、国債買い入れ額80兆円というのは、それほど大きな額ではありません。
どこかのアナリストがうまいことをいってました。
今回のハロウィン緩和、カボチャは大きい割には食べるところが少ない。
言い得て妙です。
これでバイアスは円安に完全に傾きました。
ただ、株価次第の円安はボラティリティを高くすることになり、
トレードには今まで以上の注意が要求されます。
また、ゼロ成長のまま、物価だけ上昇する、
反対に消費税増税の先送りとなれば、
別の意味での円安が起きることも考えられます。
俗に言われている”悪い円安”です。
最悪のシナリオは”日本売り”です。
現時点でそこまでのシナリオを念頭にトレードする必要はありませんが、
なにが起きるかわからない、のが金融市場です。