世界が米国の足を引っ張る?
先週の金融市場は、米国株の続落で債券への資金シフトで金利が低下し、
ドル安の流れとなりました。
10月8日にFOMC議事録要旨が公表されましたが、
「メンバーは世界経済の鈍化が米国経済見通しのリスクの一因と見ている」
「ドル高は輸出、成長のリスク」
「ドル高がインフレを低下させる可能性」
「多くが労働市場で活用されていないリソースが多大にあると見ている」
としたことで、早期利上げへの懸念が後退し、この日だけはダウも反発しました。
しかし、同時に「世界経済の鈍化~」が債券買いに向かわせています。
週を通して、概ね米国の経済指標は良好でしたが、
世界経済の先行き不安が、マーケットに重くのしかかり、
株安→債券高(金利低下)→ドル安
の流れとなっています。
米国自体の景気は、ここまで株価が下落するほど悪くはない
だけど、売られる。
これには、高値警戒感によるリスクオフ・スタンスの台頭と
前述のように世界経済の先行き不安が考えられます。
米国だけで、欧州や中国、そして日本まで面倒みられるか?
そんなわけはありません。
グローバリゼーションという名のリスク分散がリスク拡散となっているわけです。
今週の主な予定は、
13日:中国・9月貿易収支
14日:独・10月ZEW景況観指数
15日:独・9月消費者物価指数
15日:米地区連銀経済報告(ベージュブック)
16日:EU・9月消費者物価指数
16日:プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁 他数名の連銀総裁の講演
17日:イエレンFRB議長、ボストン地区連銀で講演
現在は、米国以外の国の経済がどうなっているか、どうなるかが、注目されており、
これらの国、たとえば、ドイツなどの経済指標が、予想を上回るものであれば、
欧州株の反発が米国株を押し上げ、
リスクオンの再稼働が、債券売り・ドル買いに走らせることも考えられます。
ただ、ECB当局者から弱気な発言が相次いでおり、
いよいよ具体的な行動を起こさなければ、どうにもならない状況が窺えます。
実効性のある具体的な政策が、報じられれば、ユーロが買われる可能性も出てきます。
個人的には、それでも基本はドル高でしょう。
いずれは、利上げをする米国とずぶずぶの金融緩和をしないとならないEUでは、
金利面で、ユーロを買うのはどうにも分が悪すぎます。
そして、米国発ではベージュブックとイエレンFRB議長の講演です。
ベージュブックで景気の拡大が確認されれば、ドル買いを支援することになります。
ただ、イエレンさんは引き続き慎重な発言を繰り返すことが予想されます。
早期利上げを匂わせれば、株価を圧迫することになりかねないからです。
13日は、米国がコロンバスデーとなります。
債券市場や銀行などがお休みですが、
株式市場は通常通りというちょっと”いびつな”マーケット環境です。