動き出した中東情勢、どうなるドル高
中東情勢が動き出しました。
23日、米国が、イスラム国の本拠地シリア北部ラッカ他4か所を空爆、
また、シリア北部アレッポの西、アルカイダ系武装勢力に対しても爆撃した。
と報じられています。
オバマ大統領は、
「連携の強さは米国だけの戦いでないことを明らかに」
「アラブ諸国首脳と会談、シリア空爆での協力に感謝」
と発言し、米国単独ではないことを強調しています。
実は国連総会が開催されていたNYで、米国サイドはいろいろ根回しをしてました。
まずはイランと米国。
イランと米国は核開発問題で揉めていますが、隣国シリアへの空爆への理解を求める交渉をしており、
イランも経済制裁で苦しんでいることから、理解を示しました。
次はイランとサウジアラビア。
イスラム教シーア派のイラン、スンニ派のサウジアラビアは、
1979年のイスラム革命以降、対立が続いてきました。
昨年8月にイランでロウハニ政権が発足してから、少しずつ関係改善へと動き出しています。
ロウハニ大統領は「国際社会との対話」を掲げ、両国にとってイスラム国は脅威であり、
今回の米国によるシリアへの空爆に理解を示してもらうため、
イランのザリーフ外相とサウジアラビアのサウド外相が、NYで会談してます。
親米国サウジアラビアが一役買ったという状況です。
これでイスラム国包囲網の出来上がりです。
これは、米中間選挙を控えたオバマ大統領のシナリオ通りで、
あとは武力行使をどこまで正当化できるというところでしょうか。
こうした流れを受けて、先週5連騰だったダウも2日続けての100ドル超の下落となっています。
当然のごとく、債券への資金シフトが起こり、10年債で2.5350%まで金利は低下
ただ、ドルは対円、対ユーロともに頭打ちにはなっているものの、下落はしていません。
ドルには近い将来の利上げ観測がありますが、
円やユーロを買う材料がないというのが実態でしょう。
したがって、ショートカバーはするけど、途転買いをするほどではないというのが、マーケットの回答です。
気になるのは22日にダドリーNY連銀総裁が講演で発言した内容です。
米国では、為替政策は財務省が主幹、金融政策はFRBの主幹です。
したがって、暗黙のルールとして財務省は金融政策について発言はしません、
FRBは為替政策について発言をしません。
それなのに、「大幅なドル高は経済成長に影響する」と同総裁が発言したことです。
やはり、急速なドル高はインフレを抑えることになることから、
FOMCも相当警戒している様が窺えます。
やはり一旦は調整しないと一段高は難しいのかも。