ドルの上昇は速過ぎ?
スコットランドの英国からの独立は、住民投票により否決されました。
これでとりあえず一安心と言いたいところですが、
問題はキャメロン首相がスコットランドへの権限移譲を示したことが、
どのように影響するかです。
同様の権限移譲をウェールズ、北アイルランド、イングランドが求めてきた場合、
当然認めざるを得なくなります。
まだまだポンドの不安要因は消えていません。
そして、ドル円。
110円が見えてきましたが、やや上昇速度の速さが気になります。
ドル円の上昇には、ドルが強い(ユーロ、ポンドが弱い)、株価が高い、米金利の上昇
などすべての材料が揃ってしまい、急激なドル円の上昇を招いています。
ドル円の上昇は、輸出には好都合ですが、輸入物価(≒原材料)にとっては、好ましいものではありません。
好景気で需給がひっ迫し、価格を押し上げる物価上昇であれば、それほど問題にはなりません
が、原材料価格の上昇が製品価格の上昇を招くという事態は、
俗にいう悪い物価上昇であり、いずれ株価へ悪影響を齎せます。
安倍首相は7-9月のGDPを見て、12月半ばまでに次回の消費税増税の実施を決定するということですが、
これから、今回の急激なドル円の上昇が市場に反映されることを考えると微妙です。
米国では日々発表される経済指標で多少のブレはあるものの、基本的にドル高継続です。
ダウは週を通して、前日比プラスで終え、トータル300ドル近い上昇を見せています。
NASDAQはマチマチながらも週間では小幅上昇です。
気になるのは、米10年債の利回りは12日が2.6140%、19日が2.5870%と低下していることです。
19日は週末ですから、多少買われ易いとしても逆行するのは、要注意かも。
なにかあれば、株価が急落し、債券買い=金利低下が加速し、
ドル下落の構図がまたもや頭をよぎります。
今週は大きな材料はありません。
26日に米4-6月期GDP確定値が発表されます。
予想では、+4.2%から+4.6%で上方修正されると見られており、
ある程度織り込み済みです。
材料が乏しい週ですから、このところ材料視されていない地政学的リスクが意識されるかもしれません。
引き続きドルは堅調かと思いますが、米金利が上昇しないとドルにあまり買い妙味はありません。
したがって、ドル買いの深追いは慎重に。