サプライズ続きもFRBのスタンスは変わらず
先週はまさかまさかの連続でした。
まずは4日のECB理事会。
主要政策金利のリファイナンス金利を0.15%から過去最低の0.05%に引き下げ、
さらに上限金利の限界貸出金利を0.30%、下限金利の中銀預金金利を-0.20%に
それぞれ引き下げました。
追加緩和策の有無が焦点でしたが、政策金利を下げるとはサプライズでしたね。
1.31ドル台で踏みとどまっていたものの、当然のごとく、一気に1.29ドル付近まで急落。
ドラギ総裁が言ってるように金利は「テクニカルな調整がこれ以上は不可能な下限に到達」しており、
「的を絞った長期資金供給オペ(TLTRO)」しかないのが現状です。
ウクライナ情勢が景気の足枷になっており、どこまで効果があるのか疑問視する声も多く聞かれています。
同時に10月から資産担保証券(ABS)およびカバードボンドの買い入れを決めていますが、
詳細は次回10月2日の理事会の予定です。
センチメントは引き続きユーロ売りに傾いたままです。
そして、5日の雇用統計。
以前、余程のサプライズがなければ、FRBは雇用統計外の雇用環境を注視していることで無風かも、
と書きましたが、その余程のサプライズがありました。
非農業部門雇用者数が前月比+14.2万人と予想+23万人を大きく下回りました。
それでもユーロドルで50pips程度の振れ幅でしたから、やはり注目度が低下しているのでしょうか。
実は一部のマーケット参加者は今回の結果を額面通り受け止めていないという側面もあります。
過去11年間のうち9年、平均で14.4万人上方修正されているのです。
もし今回もそうであれば、14.2万人+14.4万人=28.6万人の増加ということになります。
これは来月の雇用統計の注目点です。
FRBの金融政策に一番敏感な債券市場では、
雇用統計発表後は10年債と30年債利回りはこの日の最低水準をつけましたが、
午後には利益確定売りで、利回りは戻しています。
やはり、一時的なブレと見ている様子がうかがえます。
このところ雇用統計以外の先行指標も上ブレしているものが多く、
FRBの金融政策を大きく変えるものではないと言えそうです。
相変わらず不確定要素となっている地政学的リスクのひとつウクライナ情勢ですが、
停戦合意、ユーロ圏が追加制裁の検討もあり、、プーチン・ロシア大統領は停戦に応じたとの憶測出てきています。
ただ、
オバマ米大統領は「ウクライナ停戦に期待しているが、過去の経緯から懐疑的」
ヤツェニュクウクライナ首相も声明で、
「プーチン露大統領の平和提案を信頼しない」「ロシアは前回の全ての合意を無視、または違反してきた」
と言われているようにまだまだ決着を見ることは出来そうにありません。
今週は、
8日:日本・4-6月期GDP改定値
9日:タルーロFRB理事が上院で議会証言
10日:バーナンキFRB議長がクレジットユニオン会合で講演
12日:黒田日本銀行総裁の講演
12日:EU、ロシア、ウクライナが貿易問題に関して協議
などが注目材料。