日本の株高、円安はホンモノか?
1日が米レーバーデーで休場となり、2日にドル円が105円台に乗せました。
欧米の株式市場がマチマチとなる中、ドル円は海外時間も105円台を維持して終了。
円安の背景には安倍改造内閣に塩崎恭久政調会長代理が厚生労働相で入閣と報じられたことが要因です。
塩崎氏は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で国債の比率を引き下げを推進しており、
国債の比率低下=株式の組み入れ比率上昇
という図式が意識され、日経平均が押し上げられたということです。
ただ、日本の株式市場は米国の株式市場と異なり、世界の株式をリードする影響力はありません。
前述のとおり、欧米市場はマチマチでなんら影響を受けていません。
ダウが小幅下落したにも拘わらず、105円台を維持して終えたのは、米国の金利上昇のおかげです。
このところ、米国債は買われ続け、金利が低下していました。
2日に発表された米指標が上振れたことやECB理事会が控えていることで、
一旦、債券買いのポジションが巻き戻され、金利が上昇し、
日米の金利差拡大となり、ドル円が105円台を維持したということです。
話は戻って、日本株の上昇は塩崎氏の入閣をトリガーとした仕掛け的な匂いがぷんぷんします。
ひとつは政府による仕掛け。
消費税増税を決めるにあたっては、株価が上昇していなければ、世論の支持は得られません。
もうひとつはヘッジファンドなどの仕掛けです。
彼らは年初に売りたたき、その後なかなか円高に向かわないことや政府のスタンス
(悪く言えば魂胆)を見越して、買っているのです。
さらには、1日に内閣官房参与・本田悦朗・静岡県立大学教授が、ロイターとのインタビューで、
消費税の再増税による経済へのショックを補うには「追加緩和や補正予算などが必要になる」と発言。
これも一因になっているようです。
海外勢や政府が描いているシナリオ通り(株高・円安)に進むのか?
仮に消費税の追加増税が見送られた場合、
増税できないほど日本経済は悪いのかというここまでの期待感を裏切ることになり、
デフレ懸念さえ再発する可能性が出てきます。
そうなると株高・円安ではなく、株安・円高へと急転することになります。
ただ、物価だけは輸入物価の上昇で、日銀の思惑通りになっています。
パッとしないその他の経済指標を無視するのか?
ECB理事会、雇用統計を控えており、これらを終えると日本主導の株高・円安シナリオなんて、
あっさり消え去ることも十分理解しておく必要があります。