薄れつつある地政学的リスク
まだまだ暑い日が続いていますが、日の出の時間が少しずつ遅くなり、夏の終わりを感じるようになってきました。
金融市場では依然として、地政学的リスクが意識されています。
しかし、多少なにかがあってもある程度は織り込み済みなのか、反応が薄くなっている気がします。
内戦や国家間の争いという人命が関わる一大事です。
しかし、当事者でない者にとっては、不謹慎ですが、慢性化した遠い国での出来事のように扱われています。
特に金融市場はなんでも金儲けの手段、材料にする世界です。
しかし、中東の地政学的リスクは、単なる領土争いではなく、どんなにお金を積んでも解決しません。
なにしろその信心のために自爆テロなどが行われるわけですから、命の次に大事なお金ではどうにもなりません。
地政学的リスクがややマンネリ化しているマーケットは、また米国の経済指標に眼を向けるようになってきました。
このところFOMCのメンバーのハト派的な発言から、利上げの前倒しはないというのがコンセンサスになりつつあり、
それを裏付けるような経済指標が発表されています。
19日発表の米・7月の消費者物価指数(CPI)が前月比0.1%の上昇にとどまり、
債券市場では、FRBが低金利を維持する余地があると見られています。
ただ、株式市場では低金利維持≒株価の押し上げ要因となっています。
つまり、リスク資産への資金還流です。
さて、明日21日から、ジャクソンホール会議が開催されます。
注目のイエレンFRB議長の講演は日本時間の22日の23時から、ドラギECB総裁は23日の3時からの予定です。
前回も書いたのですが、注目のイエレンFRB議長の講演は、「労働市場のたるみ」が強調され、
一層ハト派的なスタンスになると予想されています。
イエレン議長のいう「労働市場のたるみ」とは、雇用統計にみる失業率や非農業部門の雇用者数の増減ではなく、
もっと突っ込んだ内容で、広義の失業率、時間当たりの賃金などです。
これらの改善傾向が明確にならない限り、たるみの解消には至らず、
出口戦略、利上げの時期などがFRBからコミットされることはないでしょう。
7月後半の株安から8月に入り、少しずつ値を戻している株式市場に
あえて利上げの前倒しを意識させるような発言をする可能性は低く、
むしろ利上げを急いでいないというスタンスをを示す可能性のほうが高いと思われます。
ジャクソンホール会議は注目度が高いのは間違いありません。
しかし、このところサプライズなしとの見方が高まりつつあり、単なるイベントで終わることになるかもしれません。
それでも、ポジション放置は危険です。
EAを止めるなり、ポジションを縮小するなりの対応をお勧めします。