注目のジャクソンホール会議
先週は日本がお盆休みとなる中、世界の金融市場は動いていました。
ダウは、2週続いて週足が陽線となり、さらに10年債は2.40%割れまで買われました。
いわゆる「株高&債券高」という状況です。
ウクライナ情勢の緊迫がやや軟化したこと(これが株高の要因)、
イラク情勢はまだまだ混迷を極めています(これが債券高の要因)。
地政学的リスクは残されているものの、マーケットは都合よく解釈しているようです。
また、14日にユーロ圏の2Q・GDP速報値が発表され、前期比横ばいとなりました。
ウクライナ問題が意識されるなか、
独10年債利回りは低下し、初めて1%を割り込み、これが米国債買いへと向かわせています。
ただ、そのウクライナに関しては、
14日にプーチン大統領がクリミア半島を訪問中に演説を行い、
「ウクライナで起きている惨事を直ちに終結させるために全力を尽くす」
「われわれは尊厳を持って、効果的に国を造り上げていく必要がある。世界から孤立することがあってはならない」
「(国を)強化し、結集させる必要があるが、戦争や対立を代償にはしない」
「軍事力はあらゆる問題を解決できるものではなく、ロシアはこれをむやみに行使しない」
と発言しました。
これまで強硬な姿勢を見せていたプーチン大統領がややハト派的な発言をしたことが好感され、
米国では株式がしっかりしています(15日はポジション調整で売られたました)。
以前も書きましたが、株式市場の参加者よりも債券市場の参加者はプロが多い分慎重です。
このプーチン大統領の発言を鵜呑みにはできないと考えており、債券を買い続けています。
現実に15日にはロシア軍車両がウクライナ領内に入ったとの報道もされています。
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今週は、21日から3日間、ジャクソンホール会議が開催されます。
ジャクソンホール会議とは、毎年8月後半に米国ワイオミング州ジャクソンホールで、
カンザスシティ連邦準備銀行が主催する経済政策シンポジウムで、
世界各国から中央銀行総裁・政治家・学者・エコノミストが参加する一大イベントです。
FRBの発表によるとイエレンFRB議長が米国東部時間22日午前10時(日本時間午後11時)から講演をするということです。
また、同日にドラギECB総裁の講演も予定されており、雇用統計クラスのマーケット・インパクトが予想されます。
ドラギ総裁の発言は、デフレ懸念すらある欧州経済に対して、FRB型の量的緩和の実施についてどのようなスタンスを示すかが注目されます。
問題はイエレン議長ですね。
13日に全米12地区連銀総裁の中で最もタカ派とされているラッカー・リッチモンド地区連銀総裁が
ワシントンポスト紙とのインタビューで「FRBの政策がインフレで後手に回っている兆候はない」とコメントしています。
これは、イエレン議長の利上げに関する考え方と一致しますが、
気になるのは最もタカ派と言われているラッカー総裁のスタンスがタカ派色を弱めていることです。
フィッシャー副議長が先日講演でタカ派色を弱めた発言をしたばかりで、さらにという感じです。
前号で「FRB、本当にハト派?」と題して書きましたが、さらに混迷を深める状況になってきました。
金利面では、欧州の低下傾向から相対的には米国に優位性があり、焦って利上げをする必要がないということ。
また、イエレン議長が注目している雇用統計以外の労働環境(JOLT)が依然奮わないこともあり、
本当にハト派に傾くのかもしれません。
ジャクソンホール会議は、こうした不透明な今後のFRBの金融政策に関するヒントを読み取る大事なイベントになります。
週末にイベントを控えて、動きづらい状況ですが、
お盆休みも終えて、東京時間でも多少動きが見られるようになりそうです。
先週ほとんどトレードしなかった招金猫は、無理せずコツコツ稼ぐ予定です。