イベント消化も不確定要素が多く、方向性はまだ出てこない
先週は決定打には予想通り決定打にはならなかったけど、いろいろなイベントがありました。
まずはFOMC。
7月29-30日に開催され、結果としては債券買い入れ額を月額100億ドル縮小し、250億ドルにすることを決定。
景況感は改善が進むと同時に、債券買い入れ終了後も事実上のゼロ金利をかなりの期間継続するとし、
高度の金融緩和政策の必要性を強調した。
今回は会見もなく、声明文からニュアンスを読み取ることになります。
・ハト派的なもの
「高い緩和政策が依然、適切」
「QE終了後も現在の水準での低金利が長期にわたり継続」
「住宅市場の回復は依然遅い、消費は徐々に加速」
「労働市場に著しいリソースの活用不足が見られる」
「反対票が1票にとどまったこと。
フィッシャー米ダラス連銀総裁も反対票に投じ合計で2票の反対が出るとの思惑があった」
・タカ派的なもの
「プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁が反対票を投じる」
「4-6月期に経済活動は回復した」
「2%未満のインフレが長期化する確率はいくらか低下」
「インフレはいくらか長期の目標に近づいた」
「労働市場の状況は改善、失業率は低下」
事前の予想では、もう少しタカ派的なものになると考えられており、
ドルが強含んでいましたが、それほどでもなく、失望感からドルは高値から離れています。
注目すべきは、イエレン議長に代わって以降、初の反対票が投じられたことです。
一度、異議を唱えるものが出てくると今後もこのようなことが十分考えられます。
今後より一層自由闊達な協議がされるということです。
3週間後に公表される議事録では、またまた読み手側に判断が委ねられる
微妙なニュアンスを読み取ることが必要になってきます。
上記のハト派・タカ派の分類でも、表現が多少変化しただけで、新たに追加されたものはありません。
やはり、利上げの時期の判断は、もうすこし先になりそうです。
次に雇用統計。
1.非農業部門の雇用者数増加幅は予想を下回ったものの、6カ月連続での20万人超え
(6月分も1万人上方修正)
2.労働参加率は6月62.8%を上回る62.9%
3.平均賃金の伸びは予想2.2%を下回る2.0%
4.失業率は6月の6.1%から6.2%に上昇
1・2が良い結果で、3・4が悪い結果
マーケットは、早期の利上げはないと判断し、ドル売りへと傾きました。
特に3が嫌気されたようです。
平均賃金は、そのまま個人消費につながるものであり、今後の景気動向を占うためには重要なものです。
ただ、このところ雇用統計に対する反応が以前ほど大きくはないというか、
他の変動要因の占める比率が高まった感があります。
たとえば、
イスラエルとハマスの72時間停戦もわずか2時間で崩れ、
欧米によるロシアへの経済制裁による欧州経済への不安、
さらには、ポルトガルのバンコ・エスプリト・サント銀行に関する問題の再燃、
アルゼンチンのデフォルト
などなど
いろいろな外部要因が多く、早くても2015年以降の利上げに対する思惑は二の次という雰囲気です。
やはり、新たな方向性が出るのはまだまだ先です。
今週は、日欧でイベントが予定されています。
7-8日、日銀金融政策決定会合
8日、黒田日本銀行総裁会見
先日、国際通貨基金が、「現状では日銀による追加緩和の必要はない」との見解を示すと同時に、
「中期的なリスクはいまだ重大」との見方も示していますが、とりあえずはサプライズはなしというところでしょう。
7日、欧州中央銀行(ECB)定例理事会
デフレ懸念が頭をもたげ、ポルトガルの問題もあり、
なんらかの強いメッセージが出てこないとさらなるユーロ売りにつながることも考えられます。
ただその前には、ユーロのショートカバーがユーロを押し上げる可能性もありそうです。