ウクライナ問題ふたたび

いきなりの地政学的リスクの再燃というところでした。

7月17日夜、乗客乗員295人を乗せ、オランダのアムステルダムからマレーシアのクアランプールに向かっていたマレーシア航空の旅客機がロシアとの国境からおよそ50キロ離れたウクライナ東部で墜落。
ウクライナ政府は、旅客機が撃墜されたとの見方を示しました。

ポロシェンコ・ウクライナ大統領は、「テロリストが民間の旅客機を撃墜した」と述べ、親ロシア派の武装集団が撃墜したものと非難。
さらにウクライナ内務省高官は武装集団は旧ソビエト製の地対空ミサイルを使って旅客機を撃墜したと発言。
ウクライナ東部の親ロシア派は、「われわれは上空10キロを飛ぶ航空機を撃墜できる武器を持っていない。ウクライナ軍が撃墜した」と発言し、双方の主張が真っ向から対立。

これを受けて、マーケットでは、リスク回避の動きが急激に進み、
ダウは161ドルの下落、米10年債は2.4750%まで利回り低下、ドル円は101.10円台に下落

もっともこの日は、
米6月・住宅着工件数・住宅建設許可件数の予想外の減少、
イスラエルによるガザ地区への地上侵攻開始
など株売り・ドル売りの材料が、ほかにもありました。

翌18日にはダウは123ドル超反発、ドル円も101.30円台に小反発となってます。
しかしながら、米10年債は、0.063%の低下に対して、0.009%しか戻していません。
以前書いたように、債券の方がゆっくり慎重なスタンスが確認できますね。

さて、今回のタイミングはなんとも怪しげです。
欧米がロシアへの追加制裁を決定した直後だけに憶測を呼んでます。

ロシアが親ロシア派を焚き付けた
さらに裏読みすると、
ロシアサイドの仕業に見せかけて、米国が仕組んだとか。

プーチン露大統領は
「航空機墜落はキエフの責任」

オバマ大統領は
「証拠は航空機が撃墜されたことを示す」
「ロシアが新ロ派を支援していたことは認識されている」
「ロシアから反政府派への支援が継続していた」
「プーチン大統領はウクライナの状況をほとんど統制していた」
「ウクライナにおける米軍の役割はない」

とこちらも真っ向対立です。

でも、最終的にはどんな証拠が見つかろうとも、米ロのいずれも絶対に認めませんよ。
もし認めたらとんでもないことになりますからね。

今のところ妥当な落としどころが見つからないというところです。

時間の経過とともにマーケットは多少リスクオフのスタンスは薄れるかもしれませんが、
米個別株主導で買われるだけで、
ある程度債券から株式への資金還流(≒金利上昇)はありそうですが、
本格的な金利上昇へとつながらないでしょう。

ということで対円でのドルの上値の重さには変わりありません。
一方、対ユーロでは、ドイツ10年債の利回りが、ユーロ圏債務危機が深刻化していた2012年7月につけた過去最低の1.126%に近付き1.15%まで低下していることから、金利面でドルの優位性は高まっています。

さて今週は21日月曜日が日本の祝日、22日から米国でブラックアウト期間に入ります。

ブラックアウト期間とは、
FRBの関係者が金融政策に関して踏み込んだ発言をしてはならない期間のことで、
FOMCが開催される前週の火曜日からFOMC終了時までです。

今月は29-30日にFOMCが開催されますので、22日からがブラックアウト期間になります。
ということで今週は当局者の発言はありません。

注目されるのは、イエレンさんが労働市場とともに気にする住宅関連の指標
6月の中古住宅販売件数、
6月の新築住宅販売件数
です。

6月の住宅着工件数が大きく下振れしたこともあり、
これらも同様な結果となれば、”異例な”緩和策が一層長引くことが意識されることになります。

地政学的リスクはウクライナ以外にも中東でもあり、完全に終結、みんな万歳というシナリオは描けません。
ずるずるとこうした不安が長引き、リスク資産への投資はHit & Awayで、トレンド化する可能性は低く、
残念ながらマーケットがいい話題で盛り上がるような雰囲気はありませんね。

可能ならば、ちょっと早めの夏休みでもという感じです。

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