株式と債券、そしてFX
先週は株安・債券高、結果円高という状況でした。
早速ですが、メールでご質問をいただいたので、回答させていただきます。
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招金猫さん、こんにちは。
メルマガでよく株式と債券、そしてドル円の関係を書かれていますが、
いまひとつ意味がわかりません。
簡単に説明してもらえませんか?
(以下、略)
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単にFXのチャートだけを眺めているのではなく、
「お金の流れが重要です」とお伝えしてきましたが、興味を持っていただけて、幸いです。
結論を言えば、株安=円高、株高=円安の構図なんですが、
途中経過も含めて、為替との関係をあらためてフローにすると2つの経路に分かれます
1.米国株のインデックス(ダウとかナスダックなど)が経済指標等の影響で下落すると
→世界的に株価は同調する傾向にあり、CMEに上場されている日経平均先物が売られる
→日本時間にCMEとOSEの日経平均先物が乖離を縮小するように動く
→日本株の下落
→リスク回避の円買い
もうひとつの経路は、
2.米国株のインデックス(ダウとかナスダックなど)が経済指標等の影響で下落すると
→リスクオフのスタンスから安全な資産である米国債が買われる=米国の金利低下
→ドル売り
つまり、1と2の異なる理由から、
円が買われるか、ドルが売られ、結果ドル円の下落となります。
反対に米国株が上昇するとこれとは逆の動きになります。
もし、米国株が動かなかった場合でも、
・地政学的リスクの高まり
・欧州の信用不安
・米国以外のエリア、たとえば欧州や日本などの金利の変動、
金融政策の変更などを理由とした相対的な金利差の変化
などが債券市場に影響を齎せます。
この場合、ドル金利の動向が各通貨に影響してくるわけです。
7月11日(金)はダウもナスダックも高く、さらに債券が買われており、
10年債の利回りは5週間ぶりの低水準となりました。
これはやや矛盾する動きのように見えますが、株式と債券が個々の理由で動いていたからです。
株高は14日の週から本格的な4ー6月期の決算発表がある上、
このところの下落に対するショートカバーが要因
債券買いは、土日を挟んでのリスク回避などなど
さらにちょっと感覚的なものですが、
あるイベントが発生した際に株式も債券も同じようなタイミングで反応を示します。
しかし、異なるのはこのイベントの影響の逓減というか解消の速度です。
株式の方がその速度が速く、債券はゆっくりとしていることです。
例えば、ポルトガルの信用不安についてですが、
株式市場は、すでに影響はほとんどないという判断(リスクオフの解消)
債券市場は、まだなにがあるかわからないという判断(リスクオフの継続)
債券の方が、欧米金利差で動く傾向にあるわけですから、より慎重です。
これが微妙な動き(株高・債券高)を生むひとつの要因になります。
さて、今週は、いろいろなイベントがあります。
14-15日、日銀金融政策決定会合・展望レポートの中間評価
15日、黒田日銀総裁会見
15日、イエレンFRB議長が米上院で半期に一度の金融政策報告について議会証言
16日、中国の4-6月期GDP
16日、イエレンFRB議長が米下院で半期に一度の金融政策報告について議会証言
などが予定されています。
日銀関係はあまりサプライズはないと考えられますが、
中国のGDPは大きくブレると各国の株価に影響が出るかもしれません。
イエレンFRB議長の議会証言は、良すぎた6月の雇用統計についてどのような発言をするかが注目されます。
また、以下のような金融業の決算発表が多く予定されています。
14日シティグループ、15日、JPモルガン、ゴールドマンサックス、
16日、USバンコープ、バンカメ、17日、モルガン・スタンレー
金融業以外にも決算発表が多く、個別株主導での値動きが予想され、
一方的な動きとなれば、米国株全体に影響してくることにもなりそうです。
いずれにしろ、外為市場はイエレンさんの証言待ちですね。