FOMC、そしてイラク情勢

今回はFOMCとイラク情勢についてです。

FRBは17-18日に開催したFOMCで、債券買い入れ額を月額100億ドル縮小し、350億ドルにすることを決定。

金利の見通しは、2015・2016年末は小幅上昇、長期の金利予想中央値は4%から3.75%に低下した。

2014年の成長率を2.9%程度から2.1━2.3%に下方修正、2015、16年については据え置き。

景気回復が総じて順調に継続するとの見方を示した。

イエレンFRB議長の会見での発言要旨は以下の通り

2014年米成長率見通しの下方修正、第1四半期の弱さが主因
FRBの債券保有、市場金利への下押し圧力維持
緩和縮小継続、目標への進ちょく継続するとの見方反映
資産買い入れ縮小、今後の会合で慎重なペースで継続の公算
資産買い入れ、引き続き雇用・インフレ見通しに左右
現在の低金利維持の期間、さまざまな要因による
潜在成長率、当面より低い可能性
経済が上振れならより早期の利上げあり得る
経済下振れなら緩和策をより長期間維持する可能性
最近のCPIは高め
インフレは予想通り推移
インフレ率は2%に回帰と予想、最近の兆候が示唆
インフレが長期間目標を上回るまたは下回る状況望まず
インフレ指標、特別要因除き引き続き予想通り推移と想定
FOMCメンバーの構成変更に伴う、長期の正常金利見通しの低下で
雇用の伸び、時間とともに労働市場の緩みを解消するのに十分
失業率低下、一部は労働市場の緩み低減を反映せず
市場の低ボラティリティがリスクテイク誘発なら懸念材料
金利の筋道で一定の不透明性必要と市場が認識すること重要

発表時のドル円は利上げ前倒しと受け止められ、

瞬間上振れしたものの、成長率見通しが引き下げられたことから、

米国債が買われ(=米金利低下)、ドル円は軟調となりました。

事前の予想では、債券買い入れ額の縮小は織り込まれており、

カーニーBOE総裁がタカ派的な発言をしていたこと(英の利上げにより米も利上げしやすくなる)

5月のCPIが上振れしたこと

などから、利上げ前倒し観測も出ていました。

しかし、イエレン議長は、CPIについては「最近のCPIは高め」とし、

FRBメンバーの新加入でハト派が増えたことで、予想よりも弱めとなった。

「経済が上振れならより早期の利上げあり得る、経済下振れなら緩和策をより長期間維持する可能性」

この発言は、どちらもあり得るという玉虫色のものですが、

エコノミストの一部はFRBが予想するより物価や労働市場の改善は早いとしており、

最終的には利上げの時期は早まると見ているようです。

 

次にイラク情勢ですが、

この件について、特に言及してこなかったので、とりあえず書いてみます。

なにが起きているかと言うと、

6月12日に「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」が、

イラクの首都バグダットに侵攻すると発表したのが発端です。

ISILはアルカイダ出身のアル・バグダディが率いるイスラム教スンニ派の武装集団で、

同じイスラム教徒・同じスンニ派であっても従わない者を殺害するなど、最過激派です。

ISILは、2013年末頃までにシリア東部のラッカやデリゾールを制圧。

油田を支配し、資金力を強化したといわれます。

今年1月にイラク北部のファルージャを制圧。

6月9日には、イラク第二の都市モスルを陥落させ、今回のバグダット侵攻に至ってます。

イラクはISILの侵攻発表と同時に非常事態宣言、そして米軍に軍事支援を要請することとなりました。

この要請を受け、米国も地上部隊の派遣を除くあらゆる選択肢を排除しないと言明し、

13日には一部報道がペルシャ湾に米海軍の空母が派遣される予定と伝えました。
ここでオバマ大統領の苦悩が窺えます。

思い出してください。

オバマ大統領は、かつて前ブッシュ政権時代にイラク政策(駐留米軍増強)を批判し、

イラクからの完全撤退を宣言したことを。

今更、自らが批判していたブッシュ前大統領と同じ中東政策なんてできないでしょう。

特に今年は中間選挙の年ですからね。

さらにややこしいのは、

イラク・マリキ政権と同じシーア派のイランが14日にイラクの要請があれば支援すると表明しました。

もしかして呉越同舟?

となると、親米のイスラエルやサウジアラビアが米国に不信感を抱くことになりますね。

事態は中間選挙まで長引くとも言われてますが、

オバマ政権はウクライナ問題でポイントを稼げなかったことから、一発逆転に出る可能性もないわけでありません。

いまのところ金融市場では、リスクオフの材料にはなりそうですが、国連軍や米の本格派兵でもない限り、

内乱の域を出ていないというのが、コンセンサスのようです。

ただ、原油価格が高止まりするようなこととなれば、企業業績への影響、

さらには株価にも悪影響が出ることも考えられます。

現状は、やはり金利動向がメインです。

19日、日経平均も底堅く、堅調な動きを見せていますが、ドル円はこのところのレンジ内ですし、

米金利が中長期に上昇傾向を見せないとドル円の上昇トレンド回帰も難しいかもしれません。

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