ECB理事会を前に、潮目が変わったのか?

今週のマーケットは、5日にECB理事会、6日に米・雇用統計とビッグイベントが控えてます。
 
 
現在のマーケットは、日欧米の金利動向に眼が向いており、

債券価格を動かすような材料が出てくれば、金利差拡大・縮小で為替も動くという展開ですね。

日本の金利はそれほど動きませんが、

米10年債は節目と言われていた2.50%を割り込む水準で推移しています。

そうした中、5月30日にダウが約2週間ぶりに最高値を更新しました。

米景気の先行きに対して、楽観的な見方が多いのがその背景にあります。

金利が低下しているから、債券から株式にマネーが流れるというのはある意味当然です。

しかし、今の米国は”利上げしても大丈夫”というシグナルを待っている状況です。

このところ発表される米の経済指標は、総じて見ればマチマチという結果であり、

”利上げしても大丈夫”というところまでは至っていません。

 

5日のECB理事会ですが、

マーケットはすでに前回のドラギECB総裁の会見を受けて、

低インフレと通貨高に対応するために追加緩和を実施することを織り込んでいます。

今回は政策金利の引き下げ、マイナス預金金利の導入、一定の量的緩和が実施されそうです。

 
でも、問題がいろいろあります。

マイナス預金金利が導入されると、貸出への影響など市場の混乱が予想されます。

したがって、大幅なマイナス金利は難しいでしょう。

ほかにもスペインとギリシャの国債の格上げ、ポルトガルの市場復帰などもあり、

少しずつですが、域内のお荷物と言われていた国に改善が見られています。

マーケットは織り込み済みですが、その度合いはマチマチです。
 
ECBがどこまでリスクを取るか?

ドラギ総裁の会見と同時に”出たらしまい”で急反発となる可能性も十分ありそうです。

 

話を米国に戻します。

一般的には、投資マネーは株式と債券の間を行ったり来たります。
 

でも、最近は「米国株と米国債が同時に買われる」場面が増えてきました。
 

株高(ドル円の上昇要因)と米金利低下(ドル円の下落要因)が同時に起こり、

ドル円について言えば、強弱材料が同時に発生し、動きが限定されてしまうということです。

 
この株高・債券高の同時発生については、「潜在成長率の低下」が背景にあるとも言われてます。
 
5月20日にダドリーNY連銀総裁が、

「今後予想される利上げのペースは比較的緩やか」

「短期金利の長期的な均衡金利に関して見直しが進んでいる」

と発言したことで、FRBもその認識があるのではとの見方が出てます。

当然FRBは認めてませんけどね。

 
つまり、

潜在的な成長率が低下しているので、金利が上昇しない

どういうことかと言うと、

経済成長率が高い場合、

投資のリターンが期待でき、投資家は市場に資金を投入=金利の上昇

経済成長率が低い場合、

投資のリターンが期待できないことで、投資家は市場から資金を引き揚げる=金利の下落
 

現状に合わせて言い換えると、

経済成長率が低いので、債券が買われ(金利は下落)やすい。

ということです。
 

もし、こうした状況が続けば、

ドル円のボラは低下し、ユーロやクロス円主導での相場展開に移行することになるかもしれません。

また、FRBが潜在的成長率の低下を認めると、世界的なマネーサイクルに変化が起きることにもなりかねません。

今後、ちょっと注目してみてください。

 

雇用統計やベージュブックについては、次回にでも。

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ