またもサプライズなしの日米金融イベント
先週も日米で金融政策に関するイベントがありました。
まずは、日銀政策決定会合。
もともと「現状維持」で、その後の会見で黒田総裁がなにか目新しいこと言ってくるかな程度のものでした。
黒田日銀総裁の発言の要旨は以下の通り
「駆け込み需要の反動現れている」
「基調的には緩やかな回復を続けている」
「設備投資緩やかに増加」
「予想物価上昇率、全体として上昇している」
「CPIはしばらく1%台前半で推移した後、今年度後半から上昇傾向」
「CPI、14年度から16年度までの見通し期間中盤に2%程度に達する可能性高い」
「経済物価情勢について上下双方向のリスク点検し、必要な調整を行う」
「異次元緩和は所期の効果発揮、こうした認識を踏まえたもの」
「駆け込みの反動、夏場以降減衰していく」
「4-6月期の成長率はマイナス予想だが、個人消費の基調的な底堅さ維持される」
「消費税率引き上げの影響、様々な情報活用し予断もたず丹念に点検」
「株式市場の動向は様々な要因に影響受けるが、基本的には企業収益の先行きで決まる」
「トレンドとして株高の方向変わったと思っていない」
「為替がとくに円高になっていかねばならないという理由はない」
消費税増税後の経済成長率は、7-9月期を見てからの判断なので、どうでもいい内容です。
今回の注目点は、
「日本経済で15年近く続いたデフレ」
という文言を削除したことですね。
つまりデフレ脱却宣言です。
これが当日の円買いを誘ったということになってます。
実は、もともと円買いを仕掛けたい向きが言い訳にしたらしいというのが、マーケットの本音。
でも、前日に米国株が下落しており、FOMC議事要旨公表を前に買い戻されて、ドル円は元の水準に戻ってます。
日銀としては、助かったのではないでしょうか?
続いて、4月分のFOMC議事要旨公表。
「数人のメンバーは低い相場の変動性がリスクを示唆している可能性を指摘」
「利上げのプロセスを協議」※1
「利上げのプロセス協議は速やかな利上げを意味しない」※2
「メンバーは政策の正常化において様々な手段が必要であるとの意見で合意したが、政策の正常化に関する決定はなかった」
「経済における雇用の停滞に関して協議した」
「多くのメンバーは数年内にインフレが2%まで上昇すると予想」
「数人のメンバーは資産の再投資やバランスシートの縮小に関する計画を明確化すべきだと主張」
「多くのメンバーが弱い住宅市場のリスクを指摘」
「数人のメンバーは潜在的な成長のリスクを指摘」
※1で利上げが意識され、ドルが瞬間買われ、2で即戻すという展開でした。
この日のマーケットは、前日の株価の大幅下落の影響を受けてました。
前日20日の株式市場は、小売企業の冴えない決算や慎重な業績見通しが相次いだことで売られました。
FOMC議事要旨公表を控えて、買い戻されて、大幅高となり、債券から株式への資金シフト(債券売り)が起きました。
債券売り=米金利上昇=日米金利差拡大≒円売り
の構図ですから、日本がデフレ脱却宣言しても、影響は軽微であり、円買いの仕掛けは失敗に終わったのです。
結論、4月のFOMCではなにも決定してません。
しかし、間違いなく、出口戦略に眼を向け始めたということは言えそうです。
一般的に金利の上昇は、株式市場への影響が懸念されるところです。
もし、米国が利上げをする場合、利上げをしても大丈夫という判断が下されたことになります。
それまでにはまだまだハードルがいくつもあり、先のことになりそうですが、
株式市場が「利上げ≒盤石の景気」という捉え方をすれば、利上げは支援材料になります。
最後にウクライナ問題です。
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5月4日
欧米はロシアに対して25日というタイムリミットを突きつけたわけです。
裏を返せば、25日までは欧米はなにもしないとも受け止められます。
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とお伝えしてますが、そのタイムリミットが本日です。
今のところ何もないようですが、まだまだ欧米タイムの25日はたっぷりあります。
何か起きるか? 要注意!
ちなみに26日は戦没将兵記念日で米国はお休みです。