サプライズなしの日米金融イベント
今年の大型連休は、曜日の兼ね合いがあまりよくなく、前後半に分かれる状況になってます。
今日はその中間点で、お休みだったり、仕事してたりマチマチでしょう。
金融市場では、日銀政策決定会合、FOMC、雇用統計とイベントが続き、大きくポジションメイクできない、
なら一層のこと休んじゃえという状況です。
さて、日銀政策決定会合と展望レポートですが、
黒田日銀総裁は以下のように発言してます。
「2%物価達成時期が後ずれしていることはない」
「見通しに変化生じ、2%目標に必要なら躊躇なく調整行う」
「見通し期間の中盤頃に2%程度に達する可能性高い」
展望レポートの中で、2016年度の物価見通しを2.1%としており、目標の2%を超える水準としてます。
強気ですね~
場合によっては、追加緩和なく、目標を達成する可能性も囁かれてます。
でも、現在の物価上昇は、円安による輸入物価上昇が背景にある、いわゆる「悪い物価上昇」なわけです。
望ましいのは需給の改善+賃金の上昇が背景となる「良い物価上昇」です。
ここで注目されるのが「企業の価格決定力」です。
これは何かというと、
価格を上げても、売り上げが落ちないラインです。
日銀の公表している計算では、2014年3月で0.75
つまり、物価上昇分の75%を価格に上乗せできるということです。
実はこの数値、アベノミクス前と大差ないんです。
黒田さんは、「なんかあれば追加緩和はやるよ」と言ってますが、
追加緩和ありきで日本株に投資していた投資家達にとっては、日銀の強気スタンスはネガティブなものであり、日本株離れを起こすことにもなるわけです。
次にFOMCです。
前回のFOMC後の会見で、デビュー戦だったイエレン議長が、「相当な期間」を「6カ月」と答えてしまい、利上げ時期の前倒しを一旦市場が織り込み、ドルが買われましたね。
その後、4月9日に公表された議事要旨で、利上げ時期を巡る混乱も一応の収拾を見ました。
4月29-30日のFOMCも「既定路線(100億ドルのテーパリング)の踏襲でサプライズなし」というのが大方の見方であり、材料にはなりにくい状況でした。
声明では、
「経済成長は最近、加速」、
「労働市場はまだらだが、全体として一段と改善」、
「インフレは目標下回るも長期期待は安定」、
「金利変更判断は労働市場や物価情勢など幅広い情報を考慮」、
「量的緩和終了後も低インフレ持続ならば、相当の間、ゼロ金利を維持」
としており、予想通りサプライズはありません。
ひとつ注目すべきは、FOMC内でのコンセンサスです。
4月にイエレン議長が掲げた3つの課題
1労働市場における需給の緩みの水準
2インフレがFRB目標の2%に回帰しつつあるか
3景気回復を脱線させかねない要因
これらについて、コンセンサスが得られていないというのが現状です。
なんらかの回答が得られるとしたら、今回の議事要旨が公表されるまでは、個々の議員の講演や会見での発言、日々発表される経済指標から判断するということしかできません。
とりあえずは、
米国の実質ゼロ金利は2015年末までは継続する
ということでしょう。
投資マネーの流れとしては、ダウが一時16000ドル付近まで売られた後、FOMC後に最高値を更新しています。
しかし、今月の株価の値動きは、1-3月期の業績発表という個別株の影響が大きく、あまり市場全体のセンチメントを反映しているとは言えません。
米国債もそれほど大きく動いていません。
つまり、それほど株式・債券にマネーが流れているようには見えません。
ドル建て資産が比較的静かなのに対して、ユーロドルの動きが怪しいですね~
ロシアのトリプル安を理由にルーブルからユーロへの資本逃避が起こりつつあります。
同時にECBによるストレステストに対する警戒感から、EU圏金融機関のリパトリ(外貨建て資産売却・ユーロ買い)もユーロを押し上げています。
ECBはユーロが上昇を続ければ、量的緩和に踏み切る可能性を示唆してますけど、市場参加者は、やれるもんならやってみな!って感じです。
ABS購入?
今の市場規模を考えたら、可能なの?
市場を育てているうちに、時期を逸するよ!
気をつけるべきは、
すでにユーロはかなり上昇しているということ。
ユーロの上昇要因は、ユーロに魅力があるわけではなく、消去法もしくはやむを得ずというもの。
なんらかのきっかけで急落する可能性を秘めています。
深追いは禁物!