どうなる?日米金融政策

さて、今夜に控えたFOMCの議事録公表を前に、日米の経済・金融政策について少し、整理してみましょう。

4月29・30日にFOMCが開催されますが、
それまでは、この前の雇用統計と議事録、要人の発言により、利上げ時期を占うことになりますね。

イエレン議長は3月のFOMC後の会見で、最短2015年春の利上げを匂わせてました。
反対に、
サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁、アトランタ連銀のロックハート総裁などの積極緩和派は、2015年後半としてます。

次に雇用統計の全体的な評価について、

招金猫的には、
「予想を下回る非農業部門雇用者数」を「過去分の上方修正」がカバーして、20万人超だと思ったんだけど、

市場の評価は

株安→米国債への資金シフト(=金利低下)→ 日米金利差縮小 → 円買い

となりました。

ここで米国の景気動向についてぱっと見ると
・消費の回復が企業の投資を呼び、雇用増の好循環
・家計の債務整理の進展=可処分所得に対する債務残高の低下(金融危機前の135%から108%まで低下)

でもよく見ると

・6%台の失業率だけど、職探しを諦めた広義の失業率は12%台で高止まり
・税引き後の収入の伸びが鈍い
・相変わらず一部の富裕層による富の独占

ということで、それほど改善していないし、それでも強気に利上げするなら、
株式より米国債にというのが、実態のようです。

利上げ時期を占うのは、時期尚早だけど、イエレンさんほど強気になれないんじゃないのか?
というのが、現時点での感想です。

——

あまり話題にはなってませんが、日銀による異次元緩和から1年、
金融政策決定会合もあったので、少し日本の金融政策についても触れておきます。

8日の金融政策決定会合で、日銀は当面の金融政策の「現状維持」を全員一致で決定。
景気の現状判断について、「消費税引き上げの影響による振れを伴いつつも、基調的には緩やかな回復を続けている」と、従来の判断をほぼ据え置いた。

まぁ、市場のコンセンサスはあっても7月の追加緩和だから、これだけでは影響なし。

具体的な発言内容も
「2%の物価目標を達成できると確信する」
「現時点で追加緩和を検討しているわけではない」
とサプライズはなし。

3日に米通商代表部のフロマン代表は米議会の公聴会で、
為替操作に対するオバマ政権の見解を問われ、

為替は
「政権にとって重要度の高い課題」
「全貿易相手国に対して、市場で形成される為替レートをより重視するよう求めていく」

と発言してます。

米国も量的緩和をしてきたのだから、多少は目を瞑り、構造改革のための異次元緩和を許してくれていました。
ただ構造改革の成果が見られず、円安により輸出競争力が強化され、企業業績向上、株高となっている現状をそろそろ許せなくなってきたというところでしょう。

黒田日銀総裁も心得ており、労働市場の改善から「完全雇用に近い」として、「物価上昇率2%に確信」とコメントしてます。

また、政府・与党関係者の間でも「今以上の円安は、原材料価格の上昇など負の側面が大きい」との声も聞こえ始めているようです。

ということで、なにかなければ、直近のさらなる緩和については否定的で、日本サイドからの円安要因は今のところ見当たらない。
あるとすれば、米金利の上昇による相対的なドル買いによる円安程度かな?

ここからは、ちょっとボヤキ気味に余談を…

ECBの利下げ・追加緩和、そしてもし日本が追加緩和をしたら、米国のタイト化の影響で新興国から米国への資金還流が再度起きて、これによる新興国不安の可能性を少しは軽減できるんじゃないの?

米国にとっても、日欧がその役目を担ってくれるなら、もう少し目を瞑ってくれてもいんじゃない?

って気がします。

でも、自国の利益のためなら、新興国から資金を還流させるし、戦争も仕掛ける国だからね~
ようは、「米国がこれから利上げに向かうんだから、日本は追加緩和なんかするなよ!」

ということでしょうか。

 

日銀の次のターニングポイントは、4月30日の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)です。

それに、また、ちょっとウクライナ問題というかロシアの動向がキナ臭くなってきましたね。
こちらもチェックしましょ!

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