FXのメインイベント、ECB理事会と雇用統計

今回は、ECB理事会と雇用統計のお話です。

 

欧州中央銀行(ECB)は3日、主要政策金利(リファイナンス金利)を0.25%に据え置くことを決定。
下限金利の中銀預金金利(0.0%)、上限金利の限界貸出金利(0.75%)もそれぞれ据え置いた。

理事会後に開かれた記者会見でのドラギECB総裁の発言要旨は以下の通り。
ちょっと長いけど、ちゃんと読んでね~

・金融政策について
「更なる金融緩和政策を排除せず」
「ECBは必要に応じて非伝統的措置を活用することについて全会一致」
「ECBは全ての利用可能な手段を検討する用意がある」
「量的緩和を含めたあらゆる措置がECBの職責の範囲内にある」
「必要な限り緩和的な金融スタンスを維持する」
「理事会は利下げやマイナスの預金金利を協議した」
「コリドー(中銀預金金利と限界貸出金利の差)の縮小も本日協議した」
「低インフレが過度に長期間続くようなら、資産買い入れを検討することで理事会は一致している」

・インフレについて
「基調的な物価上昇圧力は抑制されている」
「予想は抑制された中期のインフレ見通しに基づくもの状況を極めて注意深く見守っていく」
「3月のインフレ率には心から驚いた」
「インフレ率は4月に幾分上昇する見通し」
「長期にわたる低インフレが見られる」
「インフレ見通しは弱い経済と高水準のたるみに基づく」
「ユーロ圏にデフレリスクは見られない」
「基準インフレが長期にわたって低水準にとどまるとリスク高まる」
「中期的なインフレ見通しに対するリスクはおおむね均衡している」
「インフレ率は2015年から徐々に上向き、16年末までに2%近くになると予想」
「金利は長期にわたって現行かそれ以下の水準に維持すると予想」

・景気動向ほかについて
「緩やかな景気回復が予想通り進んでいる」
「為替レートはますます重要な要因になっている」
「為替レートは政策目標でない」
「景気回復は内需に支えられている、内需の一層の拡大を予想」
「調査データは緩やかな成長が続くことを示唆」
「輸出に対する需要は徐々に高まっていくと予想」
「経済見通しに対するリスクは依然としてダウンサイド」
「世界の金融市場の動きや地政学リスクが景気を腰折れさせる可能性」
「フォワードガイダンスはかなり成功している」

結論は…

「低インフレが過度に長期化するなら、量的緩和を含む利用可能なあらゆる金融政策手段を講じる用意がある」

ということ。
市場の予想よりややハト派という声も聞かれるが、

注目点は、

前回は追加緩和へのハードルが高いことを伺わせる発言が目立ったが、ECB内部で抵抗が強かった量的緩和策の可能性にも踏み込んだこと。
理事会が異例の措置を検討しているということ。

これが当日のユーロドルの下落の要因になってます。
いずれは、量的緩和・利下げというのが、市場のコンセンサスですね
招金猫的には、量的緩和・利下げが実施された場合でも

「ユーロ圏の経常収支が黒字である現在は対ドルでの下値は、ユーロサイドからは限定される」

が、

「いつ利下げするかわからないので、積極的には買いづらい」
「米国サイドで、金利の上昇、景気回復が続くようであれば、相対的に下値リスクは大きい」

という解釈です。

なお、理事会の翌日4日に独紙フランクフルター・アルゲマイネが中銀筋の話として、

「ECBは量的緩和(QE)の一環として、1兆ユーロの証券買い入れ案を策定した。
1年間に1兆ユーロの資産買い入れを実施することで、
インフレ率を0.2-0.8%ポイント押し上げると推定している。」

報じてます。

ただ、別の中銀筋の話として「資産買い入れによる市場の歪みや社債市場でのバブル発生が懸念される」

とも報じられており、まだ先行きは不透明ですが、具体的な数値がでているということは…

——-

で、もうひとつのイベント雇用統計は、

その前に前日3日にいくつか注目すべき雇用関連の材料がありました。

・3月 チャレンジャー人員削減数、前回(-24.4%)を上回る-30.2%
・新規失業保険申請件数、予想および前回を上回る32.6万件
・ISM非製造業景況指数の雇用指数、47.5と前月(56.4)から低下。10年3月以来の低水準。

チャレンジャー人員削減数は、プラス材料だけど、新規失業保険申請件数と雇用指数はややネガティブな材料。
ただ、新規失業保険申請件数は週間ベースなので、これを4週平均で月間化してみると、それほど懸念する水準ではない。

3月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が4カ月ぶりの+20万人超え予想が織り込まれており、相当ハードルが上がっていた。

結果は、

非農業部門雇用者数が前月比+19万2000人で、底堅い雇用創出ペースを維持。失業率は6.7%(予想6.6%)で変わらず。

これで大寒波による影響から米経済の復調が鮮明となり、FRBの緩和縮小継続を支援するものとなりました。
結果自体は、インパクトのあるものではありませんでした。
発表直後は一旦非農業部門雇用者数が予想を下回ったことで、ユーロドルは上昇
が、過去分を修正したことがわかると、ユーロドルは値を消しました。

前日、ドラギさんの発言でユーロが下落した反動もあり、失望のドル売り・ユーロ買い、
そして「えっ!過去分も上方修正してる!」ということで、ドルが買い戻されたということです。

最終的には、ユーロドルはあらたな方向性も出ずに前日比小幅上昇程度に収まってます。

トレードした方、お疲れ様でした。

 

今週の注目材料は9日発表のFOMC議事要旨(3月開催分)です。

次回(9日予定)では、議事要旨発表前に、今一度米国経済について、まとめたいと考えてます。

 

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