FXトレードするのに知って損はない「日銀短観」や「米雇用統計」の見方
今回は4月1・2日に発表された「日銀短観」とか…雇用統計とかについて
まずは「日銀短観」をネットで意味を調べると、
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日銀短観は、「全国企業短期経済観測調査」の略で、日本銀行が国内の資本金2千万円以上の企業(1万社超)を対象に、業績・設備投資・雇用状況などの調査を行い、四半期に一度のペースで発表する景気関連の経済指標(統計)をいう。これは、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを統計上の目的としており、業況等の現状・先行きに関する判断(判断項目)や、事業計画に関する実績・予測(計数項目)など、企業活動全般に関する調査項目について、全国の調査対象企業に四半期毎に実施するものであり、海外でも「TANKAN」の名称で広く知られている。(iFinanceより転載)
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実際には、書面またはオンラインでのアンケート方式で回答します。質問項目は、企業の主観的判断を問う「判断項目」と、売上高、預金・現金といった計数の実績値、計画値を問う「計数項目」に大別されてます。
今回の短観から、企業の物価見通しの調査が加わりました。
調査方法は、従来の業況感、事業計画に続く質問として、1年後、3年後、5年後の「販売価格見通し」と「物価全般の見通し」の2種類について、具体的な上昇(下落)率を質問しています。
その結果を全規模全産業、大企業製造業・非製造業、中小企業製造業・非製造業に分類して記載。それぞれの平均と前回調査との変化幅も公表してます。
特にこの4月は消費税の引き上げが行われましたが、基本的にその影響を除いて回答するように要請してます。
ただ、業績見通しや事業計画などは当然増税を踏まえてやってます。
現実的に起こる消費税の増税の影響を無視しての見通しなんて意味ないし、面倒くさいというのが回答者の本音。
日銀が目標に掲げる2年で2%の物価上昇の可能性を判断する材料にするため、
企業のインフレ期待が高まっているのか、特に1年後の物価見通しに対する関心が強いようです。
その理由として日銀が1年前の4月に量的・質的緩和を決定した際に「2年で2%の物価上昇」としており、
今から1年後というのが、その2年後だからです。
ということで、今回の短観は今までとはちょっと違う意味で注目されてます。
通常、短観が発表されても、よほどのサプライズがない限り、金融市場は一時的に反応するだけにとどまります。
特に外為市場は株価の動きによってツレる程度の二次的な変動しか見せません。
で、この結果が政府・日銀の予想というか見通しと乖離するようだと、金融政策への圧力となり、株価や円相場の変動要因となります。
では、実際の結果はというと、
業況判断DIは大企業製造業・非製造業ともに5四半期連続で改善。
消費増税前の駆け込み需要の反動減が予想される先行きは軒並み悪化、予想を下回った。
中小企業を含め、前回消費税率が引き上げられた1997年4月直前に行われた3月調査を上回る悪化幅となった。
注目の「企業の物価見通し」は1日ではなく、2日の発表で、全規模全産業は、1年後が前年比+1.5%、3年後が同+1.7%、5年後が同+1.7%。日銀が掲げる2%の物価目標との乖離が明らかになりました。
物価見通しが2%ととなり、先行き業況判断を含めて、日銀の思惑通りの結果とはなっていません。
しかしながら、これも日銀の想定の範囲内という見方が大勢です。
今後は、4-6月期で消費税引き上げの影響が、どの程度深いものなのか、そして7-9月期以降の回復ペース次第というところかな。
で、次に3月31日のイエレンFRB議長の講演での発言を踏まえての雇用統計について
3月のFOMCについては、すでに書いてますけど、その際にタカ派的な部分ばかりをマーケットは汲み取って、ドル高になりました。
講演で、以下の4点
・パート労働者が多く、離職率が低い
・賃金が上昇していない
・長期間失業者が多い
・労働参加率が低下している
を根拠に
「米労働市場は正常化から程遠い」
「雇用回復に向け異例な金融緩和策は相当期間必要」
「労働市場の改善を支えるため、FRBは金融緩和を続ける」
と発言。ちょっとハト派になってます。
4日の発表の3月分では、失業率や非農業部門雇用者数の増減だけでなく、
・週間平均時給
・失業期間が27週以上の長期失業者比率
などがあとから材料視されることにもなりそう。
でも細かいデータは米労働省(U.S. Department of Labor )のHPでもいかないと個人投資家の目には入らないのよね~
前号でも書いたけど、
結果が良すぎると早期利上げ観測・株安(≒円売り)を呼び、
ほど良い改善が確認されれば、株高・ドル高継続
反対に悪すぎると景況感の悪化で株安・ドル売り(円高)
となる。
つまり民間予想の上限程度にあれば、米経済・FRBにとって良いという感じでしょうか。