FX業者の健康状態

ちょっと硬めのお話。

金融商品取引業者、いわゆるFX業者や証券会社には、他人様のお金を預かっているので、
その健全性を計る尺度として「自己資本規制比率」(通称:比率というのがあります。
これは「保有資産の価格変動等のリスクが顕在化した場合に、短期間に対応できる
支払い能力を有しているかどうかを示す指標」です。

簡単に言うとその業者の資金面での健康状況っていうこと。

計算方法は
自己資本から固定的な資産を控除した「固定化されていない自己資本の額」を
発生し得る危険に対応するリスク相当額(市場リスク・取引先リスク・基礎的リスクの3つ)
で除して算出します。

ざっくり言うと、利益が上がっている業者は、固定化されていない自己資本(分子)が大きくなり、
リスク資産(分母)が多少増えても問題はありません。
反対に利益が上がっていない業者は、分子がどんどん小さくなり、比率は低下することになります。

すべての金融商品登録業者は、管轄の財務局に毎月20日までに「モニタリング報告」というものを
提出しなければなりません。

その中身は、比率は当然としてその計算根拠となる資産状況から顧客の取引状況など様々なデータです。
これを当局は、毎月チェックして「自己資本規制比率」が200%を割り込み、低下が続いているようだと、
まずは「おいおい大丈夫かよ」と電話で問い合わせてきます。要は目を付けられるということです。

さらに
140%を下回ると、「金融庁に届出を要する」
120%を下回ると、「金融庁は業務の方法の変更を命じ、財産の供託その他監督上必要な事項を命ずることができる」
100%を下回ると、「金融庁は、3カ月以内の期間を定めて業務の全部又は一部の停止を命ずることができる」

という感じです。

業者は、できるだけ当局から目を付けられたくないので、月末の比率の数値を引き上げるべく、努力しています。

その一例ですが、リスクとして大きな比率を占めるカバー先に預けてある証拠金を少なくします。
特に海外の業者をカバー先としている場合、国内の銀行等と異なり、リスクウェートが高いため、
それを出金する
などの作業です。

ということは、出金可能額を増やすために、使用証拠金を抑える傾向にあります。
つまり、顧客のトレードが使用証拠金を増やすような場合は、呑み、
そうでない場合はそのままカバーするとかです。

どの業者もホームページ等で各四半期ごとに最新の数値を開示することが金商法で定められており、
そろそろ9月末の数値が掲載される時期となってきました。

あなたの使っているFX業者の比率はどうなってますか?

区分管理(信託)されているから、大丈夫なんて安易に考えないで、たまにはチェックしましょ。

2012年、ちゃんと区分管理しないで虚偽報告し、登録取り消しになった証券会社(FX業者)があったんですからね

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