日米金融当局のスタンスのウラ

今週もここまで日米でイベントがありました。

まずは、日銀ネタ。

14-15日に日銀金融政策決定会合が開かれました。

当面の金融政策の「現状維持」を全員一致で決定。
2016年度までの経済・物価見通しを公表、
2014年度の実質成長率見通しを小幅下方修正、
物価を含めてその他の見通しは維持。
景気判断は「基調的に緩やかに回復」との認識を据え置き、
先行きは消費税率引き上げに伴う反動減の影響も「次第に和らいでいく」とした。

あまり内容がないというか、これではマーケットの反応はありません。
やはり消費税増税の影響の判断などは、すべて2Qの動向を見てからですね。

ただ、15日の会合後の黒田日銀総裁の会見では、

「(消費者物価は)当面1%台の前半で推移し、2014年度後半にかけて物価上昇が再び加速し、15年度を中心とする時期に目標の2%に達する」
「(従来からの見通しを)変えていないし、変える必要はない」
「当面は1%台前半で推移すると予想」
「1%を割り込む可能性はないと想定」

ゴリゴリの強気です。

ところが、2年で2%目標については大きな課題というか問題が残されてます。
もともと物価上昇が供給力の低下が要因であり、需要の増大が原因ではなりません。
まぁ、これはとりあえずおいておくとして。

物価上昇そして金利上昇へとなれば、どうなるか?

内閣府が2014年に試算した中長期の財政試算では、実質成長率を2%としたケースで、物価が2%程度、金利が2%へと上昇すると、国債費も含めた財政収支の赤字幅は縮小どころか拡大が進むという結果が出ています。

みずほ総合研究所は7月上旬に都内で開かれた野村総研の金融市場パネルにて
「物価が2%目標に近づくタイミングでは、市場との対話により金利上昇に猶予期間を用意すべきだ」
「財政と銀行が金利上昇に耐えうるように、体質改善することがポイントになる」

このような考え方はみずほ総研だけでなく、複数の識者が述べています。

ゴリゴリの強気の中、出口戦略をどうするか、これが見えてこないと金利だけで、
円高、日本株上昇、日本への投資はありえないといったところでしょうか。
 
 

一方、米国では15・16日にイエレンFRB議長が議会証言を行いました。

15日、
「高水準の金融緩和が引き続き適切」
「労働市場にはかなりのたるみが依然としてある」
「多くの米国民が失業状態のままである」
と発言して、長期金利が低下・ドル売りの流れが進みました。

ただ、その後
「全般的な景気見通しは強気」
「GDP縮小に関わらず、多くの指標は明るさが一段と増している」
「GDP、経済の勢いを著しく過小評価」
と発言すると、長期金利が上昇・ドル買いへと流れが変わりました。

この日のマーケットは、
10年債利回りはほぼ横ばい、株価は小幅上昇、ドル円は小確り、ユーロドルは下落

結果だけ書くと、米国フォロー風ですが、
この日の株式市場では、JPモルガン、GSの好決算
EU圏では、ポルトガルの信用不安の継続
という材料があり、FRB議長の発言を受けての反応ではありません。

敢えて言うと、FRB議長の発言はなにもセンチメント変えなかったというところでしょうか。

ただ、ハト派的なスタンスだけは継続しています。
ということで、今後タカ派的なものが出てくれば、インパクトがあるかもしれません。

 

ここまで日米のスタンスを書いてきましたが、

疑問に思いませんか?

ゴリゴリ強気の日銀、ハト派なFRB。
言い換えると
日銀は追加緩和期待の後退 vs FRBは金融緩和の継続

これでも特に円が買われるようなことは起きていません。
なぜでしょうか?

それぞれのスタンスが変わっておらず、すでに織り込まれているということに加え、
日本では、この秋に2015年10月の消費税の増税を判断する予定であり、
それまでの景気動向で増税が見送られたり、追加緩和がなされることもあり得るからです。
また、米国ではイエレン議長が労働市場の改善が想定を上回れば、金利は予想より早く、一段と速いペースで上昇する可能性があることを示唆しています。

つまり、マーケットは「強気の日銀、ハト派なFRB」のウラにあるこれを覆す可能性に注目しているからですね。
日米金融当局のスタンスのウラを読み取る、重要なポイントです。

 
 
日本の夏休みはお盆がメインですが、米国では独立記念日以降、徐々に夏休み入りしてます。
マーケットも参加者が減ってきます。
毎日暑いですね。という言葉があいさつになっていますが、
トレードは熱くならず、冷静沈着に、損切りポイントが来たら、他人事のようにバサッと切る!

心がけたいです。

では。

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